私たち、リアスターファームのある陸前高田市を含む気仙地域では、古くはいちごの栽培が盛んに行われ、40戸の農家があったと聞いています。
しかし、次のような問題によって次第に生産農家が減少したのことです。
<従来方式の問題点>
〇小面積・単年春どりのためいちご栽培だけでは生計が立たない上、病害虫被害が発生した場合、収入が減少する。
〇家族労働中心のため収穫最盛期には休めず、労働負担が大きい。
〇収益に対する初期投資コストが大きい。
〇低利益のため後継者が不足している。
こうした従来方式の問題点を克服し、東日本大震災からの復興に向けた、新たな農業振興を図るため、岩手県農業研究センター南部園芸研究室では中山間地域でも可能な高収益型の施設農業のモデルを構築すべく、実証試験を行うこととなりました。
三陸沿岸地域の気候特性は、促成栽培、夏秋どり栽培のいずれの作型も可能にしていることを踏まえ、年間を通じて栽培・出荷できないかと検討しました。
さまざまな条件を調べた結果、2年8季どりの作型を1年ずらして2つ走らせて切れ目のない周年栽培方式が可能なのではないかとの結論に達し、実証試験に取り組むことととなりました。
2013年から2017年までの5年間の実証試験の結果、次のような優位点が明らかになりました。
<新方式の優位点>
〇面積当たりの採苗・育苗に係る労力・費用が半減する。
〇環境制御により単位面積当たりの収量が増加する。
〇周年で収穫できることから収入が途切れることがない。
〇小規模分散立地により、病害虫被害のリスク分散ができる。
ハンモック式ベンチ
電照出蕾制御とクラウン温度制御
環境制御盤
2013年から実証試験を開始し、施設のあり方、環境制御、栽培方法などを試行錯誤し、四季なり性品種(なつあかり)による2年8季どりができるようになりました。2016年から2017年にかけての収穫量実績は以下のとおりです。