震災からの復興と新たな農業のかたち
2011年3月11日、東日本大震災が発生し、三陸沿岸地域は未曾有の被害を受けました。津波により多くの農地が流失し、地域の農業基盤は壊滅的な打撃を受けました。しかし、私たちはこの地で新たな農業を築き、地域の復興と発展に貢献したいという強い想いを抱き、リアスターファームを設立しました。
私たちの農業は、震災からの復興を支える一つの柱として、三陸地域の気候特性を活かした「夏いちごの周年栽培」を基盤としています。この技術は、岩手県農業研究センターでの実証研究をもとに確立され、復興事業の一環として地域の新たな産業としての可能性を拓いてきました。
復興事業としての農業振興
新たな農業モデルの確立
震災以前、この地域ではいちご栽培が盛んでしたが、農地の損失や後継者不足により、生産農家は激減しました。従来の単年春どり方式では、安定した収益が確保しにくく、持続可能な農業の確立が課題となっていました。
そこで私たちは、「2年8季どり」の周年栽培技術を導入し、年間を通じて安定した生産と収益を確保する新たな農業モデルを構築しました。この技術により、夏秋期の品薄時期にも高品質ないちごを供給し、三陸地域の農業の可能性を広げています。
新規就農者支援と地域産業の再生
三陸地域の農業を復活させるためには、新たな担い手の育成が不可欠です。リアスターファームでは、大船渡市の浦浜農場を「担い手育成拠点」として位置づけ、新規就農者向けの研修制度を整備しました。
2年間の研修プログラムを通じて、周年栽培技術を習得して頂き、研修後は、リアスターファームの農場リーダーまたはフランチャイズ契約による独立の道を用意しております。
施設整備に関しては初期投資の負担を軽減するため、自治体の補助金活用を推奨しております。
この仕組みにより、震災で職を失った方々や新たに農業に挑戦したい方々が安心して就農できる環境を整えています。
環境負荷の低い農業と地域資源の活用
耐候性木骨ハウスの導入
震災復興に向けた取り組みの一つとして、耐候性木骨ハウスを活用した環境負荷の低い農業を推進しています。
これは、地元の間伐材を利用した農業用施設であり、以下の特長を持ちます。
- 軽量鉄骨ハウスよりも内部温度が2〜3℃低く、いちごの生育に適した環境を実現。
- 耐過重性に優れ、換気扇や遮光カーテンの設置が可能。
- 地元産木材の活用により、森林資源の循環と地域経済の活性化に貢献。
また、このハウスを活用することで、地域の気候特性を最大限に活かした高収益型の施設農業を展開しています。
地域との協力による持続可能な復興
リアスターファームの活動は、地域との協力なくして成り立ちません。私たちは地元の自治体や農業団体と連携し、地域の再生と発展に向けた取り組みを進めています。
- 地元高校・大学との連携による農業教育の推進。
- 地域住民との協力による農場運営やイベントの開催。
- 地元企業との連携による特産品開発や販路拡大。
震災からの復興は、単なるインフラの再建ではなく、「地域が再び活気を取り戻し、人々が安心して暮らせる環境を築くこと」だと私たちは考えています。
その一助として、農業を通じた地域の再生に貢献していきます。
未来へ向けて
私たちは「三陸の地を夏いちご産地にする」ことを目標に、2030年までに生産面積5ha、売上高5億円を目指しています。これを達成するために、
- 新規農場の開設と生産規模の拡大
- 担い手育成のさらなる強化
- 地域資源を活かした持続可能な農業の推進
に取り組んでまいります。
震災で大きな被害を受けた三陸地域ですが、私たちはこの地で新たな未来を築いていきます。農業を通じて、地域とともに成長し続けることが、真の復興への道だと信じています。
「三陸の地を夏いちご産地に」
それが私たちリアスターファームの使命です。